デザイン思考を体験し抱いた印象
最近、会社のサブの業務でデザイン思考についてワークショップを提供する機会をいただいた。
もともとIDEOのアプローチや本を見たことがあったが、体験したのは初である。
そこで抱いた印象を自分の中での振り返りとして記してみたいとおもう。
デザイン思考に対する所感
今回はカスタマージャーニーのみを体験し、そこからプロトタイプ作成を行った。
その中で、自分のチームの中の論理派のメンバーはこのワークショップにかなり苦しんでいる印象を持った。
思うに、過去のナレッジの塊を組み合わせて良いアイデアに昇華するということは、ほとんどのメンバーが得意としていたが、
デザイン思考に対して0-1のアイデアを生み出そうという期待感で行くと改めて出したアイデアは既に過去に生み出されているものと一緒であるという残念なアウトプットに落ち着いてしまうことがわかった。
イノベーションの論理と一緒で、どれだけ過去に存在したものを非連続的に結び付けられるかが、デザイン思考に対する世の中の人々の期待値を超えるアウトプットを出す前提で必要であることを強く実感した。
デザイン思考という方法論について
デザインとは、新たな価値(もしくは価値の組み合わせ)を生み出す試みである。
このようなデザインにまつわる思考法をメソドロジーとして提供するということに対して、ひとつの発見があった。
最近、AIの話をする機会が多く、その中でよく聞く話に以下のような話があった。
「AIは競馬の準備は理解できても、一位になる馬を育てることはできない」という話だ。
しかし、デザイン思考や最近のAIの事例を見るにつけて後者の機能を持っているAIも生まれてきているのではないかと感じた。
今までは、AIが機械学習によって、予測機能を発達させてきた。これが、競馬の順位予測や株の予測についていかされてきたのである。
今後はこれに加えて、育てていったプロセスで有効であったとされたアプローチをまとめメソドロジー化する活用法も増えていくのではないかと思われる。
競馬に関しても、もし育てる時のデータさえ読み取れれば一位になる馬を育てることができるかもしれないし、アイデア創出の分野に当てはめればAIを使うところまでいけなくとも、デザイン思考による方法論としての存在意義は今後どんどん広まっていくと考えられる。
アウトプットへの期待値コントロールを間違えないための反省
ビジネスのアイデアを作るときには、「課題発見」、「ソリューション発見」、「実行」のフェーズが存在する。
その中で、「課題発見」と「ソリューション発見」のフェーズだけであるとまだコンサルティングのフレームワークなどの枠組みを通じて、「イシューファースト」で検討を行う方が時間単位の満足感が高まると思う。
つまり、ワークショップとして数時間レベルでデザイン思考を体験しようと思うとなかなか満足の行く成果を出せない可能性が高いと感じている。
一方で、「実行」におけるプロトタイプ作成や、テスト段階からのフィードバックによる二周目のアイデア出し・改善等を組み合わせていくことができる状況さえ整えられれば、デザイン思考による満足感はかなり高まるポテンシャルがあると感じた。
なかなか、どこで成果がでるのかわからないところが提供者側の難しさではあるが、今後どのようにすれば最短で効果を高められるか検討していきたい(それによって失われるデザイン思考の魅力は避けながら)